misdirection 2

滋賀県H様 束離メンテナンスの御依頼

H様はとても熱心な方なのですが、今回のご要望として
Q1、元々捻れないカケなのでは?
Q2、捻れないから、弦道を下にのばしてほしい 
Q3、誂品と同じような形、クスネもそのように塗布してほしい
との事でした。
お答えします。

A1、捻れないカケの定義を弊社なりにお伝えします。簡単に申し上げると、弦を取りかけたとき、弦道と捻り革の部分に空間がないと物理的に捻れません。
【空間がある】

【空間がない】

カケが捻れないカケなので無く、捻りが何たるか、ということをまずはご理解いただければと思います。
ちなみに、カケ自体は平付けには微塵にもなっていませんでした。

A2、下弦を取りたいということだと理解しますが、「下に伸ばして」ここが、ミスディレクション(いわゆる思い込み)かもしれません。
思い込みは2つあります。
まず1つは、「下に」という点です。
弦道に関しては、人により「上に」「下に」「奥に」「右に」「左に」「先に」「手前に」・・・と、言い方がばらばら、差している言葉の意味もまったく違います。
なので、弦道の移動は、図解してもらうと間違いがありません。
弦道に関しては、「朝嵐(指先側にもってくる)」以外の言葉だけの指定は、指定にならない事をご了解ください。
2つ目は、指示している内容自体の思い込みです。
「捻りがかけられないから、弦道を移動させる(もしくは伸ばす)」
というのは根本的に違います。
もし本当に捻りがかからないのであれば原因はカケ自体にありますし、弦道の移動で解決するものではありません。
弦道の移動は「捻りを極端に(または強く)かけたいから移動してくれ」という方のご指示になります。

A3、出来る限り、ということですが、大前提として「値段相応」ということになります。誂品はそれだけの対価を頂いていますので、可能なこともあります。
束離が誂品と同じ性能を有している事はありません。
今回は指示通り弦道を低くし、クスネも広く塗布いたしましたが、誂とは、弦道のベースの造り方も、仕上げている人間も違いますので、同じにはなりません。
ご了解いただければ幸いです。



H様とのお話の中で、「師匠」という言葉が出てきました。もちろん指導者の方を指しているのでしょう。どんな道場にも指導者の方はいらっしゃると思います。
弊社は、日本全国の弓道家の方とお話をさせていただく機会がありますが、その考え方や理念、引き方の指導方法などは千差万別です。
時にはまったく真逆の事を理念と言われている方もいらっしゃいます。
(そのお二人が出会ったら喧嘩になるのでしょうか(笑)
指導者の方に意見を聞くのはかまいませんが、
「〜先生に、このカケは○×と言われました」
というのは、とても困ってしまいます。ご本人様の意見でしたら、よろしいのですが、その場合は意思が確立していない為、どうすることも出来ません。
たとえば
弊社「では、○×すればよろしいですか?」
お客様「ええ、〜先生はそうおっしゃっていましたし、私は良くわからないもので」
弊社「なにか○×のように思われるのですか?」
お客様「いえ、他の先輩方にもみてもらってそんな感じだったので」
弊社「・・・」
ご自身がどう思っているか、それが重要なのです。
是非、年間万単位のカケを製作、何百単位の修理をしています弊社のノウハウで、お答えしていきたいと思います。

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