misdirection 3

以前に修理依頼があった件で、「おもいこみ」に関してのものです。
さて、こちらの束離のお客様曰く「弦道が指先の方につきすぎてひきずらいので、もっと根元にしてもらえないか」という御依頼。

なるほど、外見上の所見は特に問題ありませんでした。
おそらく弦道の下の縫い目(×××となっている部分)からの距離が離れている為、錯覚的に前に出ていると思われているのだろうと判断。
ですので、このお客様と打ち合わせさせていただいたときに「修理してお返しいたしますので、それで使用されてみてください」とお願いしました。
しっかり計測した後…

腹革/捻り革を外し、「なにも扱わないまま」縫い目を上げてお返しすることに。

やはり、弦道の位置自体に特に問題はありません。

少しだけ(2ミリ)腹革を指先側に貼り、縫い目を弦道に近づけてあげます。

縫込み

計ると相対的に弦道が、下におりてきたように見えます。実際は何も変わっていません。

その後、修理品をお客様にお戻しし、具合を聞いてみると「とても良くなった、凄く引きやすいし離れも出る」との事。
実は、腹革捻り革を変えただけで、何も修理していない旨をご説明し、いかに「思い込み」であったかということをご理解いただけたと思います。

このような思い込みというのは、新品のカケを買ったときなどに多く感じるようです。
今まで使用していたカケがくたくたで使用しやすかったり、元々カケが大きく、それで慣れてしまったりすると、セミオーダー等でぴったりご自身の手に合ったものになると、「違和感」を感じやすいようです。

弊社から「それはお客様の思い込みでは?」とお尋ねすることはありません。
「思い込み」には、十分留意していただけましたら幸いです。
ただ、その強い思い込みは、時に「信念」とも取れますので、その場合はご希望通りに製作いたします。

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