弦道で修理御依頼される方に、是非みて頂きたい修理例です。
まず、ご指摘の図を2枚。別々の方です。
その1
その2
どちらも、「弦道が”適正に”真ん中に来ていない、修正して欲しい」とのご依頼です。
この件、結論から申しますと、
「弦道の位置は、取懸け時を基準にお考え下さい」
ということです。
帽子の真ん中ってまずどこでしょうか?ということから始まりますが・・・。
コチラをご覧下さい
見た目には真ん中でないと思います。
なぜかと申しますと……
少し分かりにくいですが、取懸けをしている図と考えてください。
もし弦道が「見かけの真ん中(縫い目の頂点の真下)」にあれば、このカケの場合、手の甲が自分の方を向くくらい強く捻りをかけないと、正しく弦が掛からなくなることがご想像できますでしょうか。
ご指摘のほぼ全てが、「”帽子の真ん中(縫い目の頂点)”と弦道を合わせて欲しい」というものですが、帽子の位置や向きというのは控えの張り方・帽子の挿げ込み角度などによって変わりますので、縫い目の頂点は必ずしも「帽子の真ん中」とはなりません。
帽子の真ん中とは弦をかけてみて、会の状態に入ったとき、弦道がどの部分に来ているか、ということで決定される物と考えています。ですので、単に弽を開いてみて、「コレは弦道が真ん中に来ていない」とご指摘される前に今一度取りかけの状態などで状態を見ていただきたく思います。
仮に、「かなり捻る引き方をしますので、移動してください」というご相談でしたら修正致しますが、単純に「見た目に真ん中でないから」ということでしたら、ぜひ今一度、取懸けたときに弦がどう掛かっているか、「真ん中」にするとどうなるか、をお確かめ下さい。