前回(第5回)よりしばらく間が空いてしまいましたが、再開いたします!
6回目の今回は、【写し】についてです。
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写しとは、ずばりカケの複製を作ることです。もちろん、見た目だけではなく、その使い心地までも写し取ることを目標としております。
三ツ、四ッ、諸…種類を問わずあらゆるカケにて承りますが、前提となる条件がございます。
それは、「原則として、見本となるカケの製作者がすでに亡くなられている(あるいは製作不可能)」ということです。
と申しますのも、原作者の手による写しこそが真の意味での「写し」であり、最良であると考えるからです。姿形・使用感ともに、原作に限りなく近いものがおのずとできあがることでしょう。
ですので、たとえば「(原作者が存命で、製作が可能であるにもかかわらず)なかなか依頼を引き受けてもらえないので」といった理由でのご依頼は、基本的にお断りしております。
姿形だけでなく、使用感まで写し取るには大変高度な技術を要します。そのため、写しの料金は「誂」と同額とさせていただいております。(2013年8月現在、10万円〜)
特にご質問の多い、依頼の流れについて説明いたします。
- メールもしくはお電話にて、写しを検討されている旨、ご連絡ください。
※詳細な点について、お話を伺います。 -
可能であれば、見本となる製品を送付いただきます。
※現物を拝見した上で、製作のめどをつけます。
※見本は即日返送致します(往復送料はご負担願います)。 - 受注完了のご連絡を差し上げた後、製作待機(順番待ち)に入ります。
※この期間を含め、全体的な納期は約半年です(誂と同様)。 - 製作の準備が整い次第、再度見本を送付いただきます。
※見本が着き次第すぐに製作に入り、約1ヶ月で納品致します。
※製作期間中、見本はこちらでお預かり致します。
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写しは、かなり思い入れのあるカケでしたら、ご一考の価値はあると思います。しかし一方で、そのカケにこだわらない(依存しない)姿勢もまた、大事かと個人的には思います。会者定離と申しますように、出会いがあれば別れもあるのではないでしょうか。
なお、写しは年間で10件前後のご依頼をいただいております。写しを決意されたのであれば、ぜひ技術と経験のあるお店でどうぞ。